【1株当たり情報】③1株当たり純資産額

 はじめに、1株当たり純資産額は、普通株主にかかる期末の純資産額を、期末の普通株式の発行済株式数から自己株式数を控除した株式数で除して算定します。(適用指針34項)
 1株当たり純資産額を算定及び開示する目的は、1株に帰属する純資産額を示すことによって、投資家等の利害関係者の投資判断等に有用な情報を提供するために算定及び開示されます。そのため、普通株主に関連しない金額は、1株当たり純資産額の算定上、期末の純資産額に含めないことが適当であると考えられます。
 今回は、1株当たり純資産額算定の際の注意点について解説していきます。

普通株主に係る期末の純資産額について

 普通株主に係る期末の純資産額は、貸借対照表の純資産の部の合計額から以下の金額を控除して算定します。
(1)新株予約権申込証拠金
(2)自己株式申込証拠金
(3)普通株式よりも配当請求権又は残余財産分配請求権が優先的な株式の払込金額
(4)当該会計期間にかかる剰余金の配当であって普通株主に関連しない金額
(5)新株予約権
(6)非支配株主持分(連結財務諸表の場合)
(適用指針35項)

【注意点①】評価・換算差額の取り扱い

 純資産の部の評価・換算差額等に区分されているその他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定、繰延ヘッジ損益などの項目は、普通株式にかかる期末の純資産額に含めるとされています。(適用指針59項)

【注意点②】普通株主に関連しない金額について

 普通株式に係る期末の純資産額を算定するに際して純資産の部の合計額から控除する当該会計期間にかかる剰余金の配当であって、普通株主に関連しない金額には、期末までに株主総会等で決議された未払金額のみならず、期末日後に決議される剰余金の配当のうち基準日が当期に帰属するものがある場合、当該剰余金の配当の議案に基づく金額が含まれることに注意が必要です。(適用指針60項)

まとめ

 1株当たり純資産額を開示する目的等について解説させていただきました。1株当たり純資産額は、1株当たり当期純利益額や潜在株式調整後1株当たり当期純利益額と比較すると論点が少ない項目かと思います。今回の解説は以上で終了します。最後までご覧いただきありがとうございました。

 

【参考文献等】
■新日本監査法人HP:https://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/other/2014-10-22.html

■1株当たり当期純利益に関する会計基準
■1株当たり当期純利益に関する会計基準適用指針

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公認会計士です。都内の監査法人に勤務しています。会計/監査/税務に関する情報を配信していきます。