固定資産の減損損失について①

固定資産の減損とは、資産の収益性の低下により、投資額の回収可能性が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理です。

以前は関係会社株式と固定資産の減損の兆候についての記事を書きましたが、今回は固定資産の減損処理について、注意すべき点を中心に解説していこうと思います。

(1)減損損失の会計処理までの流れ
(2)固定資産のグルーピングの際の注意点
(3)減損の兆候の注意点
(4)まとめ

(1)減損損失の会計処理までの流れ

①固定資産のグルーピング
②減損の兆候の把握
③減損の認識の判定
④減損の測定
⑤会計処理・表示
今回は各段階の内容を詳細に解説するというよりは、各段階において注意すべき点を解説していこうと思います。

(2)固定資産のグルーピングの際の注意点

①遊休資産について

遊休資産とは、企業活動にほとんど使用されていない状態にある資産をいいます。有給資産のうち、将来の使用が見込まれていないもので重要なものについては、他の資産または資産グループとは別の資産グループとして取り扱うこととなります。

なお、企業が将来の使用を見込んでいる遊休資産は、その見込みに沿ってグルーピングを行う必要があります。(固定資産の減損にかかる会計基準の適用指針第8条)

そのため、遊休資産であるからといって一概に他の資産または資産グループとは別の資産グループとして取り扱ってはいけない点に留意が必要です。
②個別財務諸表と連結財務諸表について

連結財務諸表は、企業集団に属する親会社および子会社が作成した個別財務諸表を基礎として作成されます。また、連結財務諸表においても、原則として、個別財務諸表における資産グループが用いられます。しかし、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う単位の設定などが複数の連結会社を対象に行われており、連結財務諸表において、他の資産または資産グループのキャッシュフローから概ね独立したキャッシュフローを生み出す最小の単位が各連結会社(在外子会社を含む)の個別財務諸表における資産のグルーピングと異なる場合には、連結財務諸表においてグルーピングの単位が見直されることになります。

この結果、個別財務諸表で認識し計上した減損損失を、連結財務諸表においては、減損が生じていないとして、戻入れ処理を行うことも考えられます。
③セグメント情報との関係

業種や規模にかかわりなく、企業には複数の資産又は資産グループが存在すると考えられる。また、連結財務諸表における資産グループは、どんなに大きくとも、事業の種類別セグメント情報における開示対象セグメントの基礎となる事業区分よりも大きくなることはないと考えられる。(適用指針73項)

ただし、減損会計における資産グループが、事業の種類別セグメント情報における開示対象セグメントの基礎となる事業区分を超えることが全くないとは考えられていません。セグメント間取引が存在し、セグメント間に相互補完的な関係が生じている場合などは、大きな単位で資産グルーピを形成することがあるかもしれません。

(3)減損の兆候の注意点

減損の兆候とは、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象のことです。減損の兆候がある場合に、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行います。

企業は、通常の企業活動において実務的に入手可能なタイミングにおいて利用可能な情報に基づき、減損の兆候がある資産又は資産グループを識別します(適用指針第11項)。

それでは減損の兆候の注意点について見ていきましょう。
①営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローが継続してマイナスの場合

「営業活動から生ずる損益」は、営業上の取引に関連して生ずる損益であり、これには、当該資産又は資産グループの減価償却費や本社費等の間接的に生ずる費用が含まれ、また、損益計算書上は原価性を有しないものとして営業損益に含まれていない項目でも営業上の取引に関連して生じた損益(例えば、たな卸資産の評価損)であれば含まれる。ただし、支払利息など財務活動から生ずる損益や利益に関連する金額を課税標準とする税金は含まれません。また、大規模な営業改善計画等により生じた一時的な損益も含まれないとされています。
減損の兆候の把握には「営業活動から生ずる損益」によることが適切であるが、管理会計上、「営業活動から生ずるキャッシュ・フロー」だけを用いている場合には、それが、継続してマイナスとなっているか、又は、継続してマイナスとなる見込みであるときに減損の兆候となる(適用指針第12項(3))。 
事業の立ち上げ時など当初より継続してマイナスとなることが予定されている場合には、予め合理的な事業計画(当該計画の中で投資額以上のキャッシュ・フローを生み出すことが実行可能なもの)が策定されており、実際のマイナスの額が当該計画にて予定されていたマイナスの額よりも著しく下方に乖離していないときには、減損の兆候には該当しないものとしています。
②使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合

減損の兆候は、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象であり、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生ずる見込みである場合も該当する。このため、実際に変化が生じた場合のみならず、取締役会等において決定された段階で減損の兆候に該当することとなる。
③経営環境の著しい悪化

資産又は資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したか、又は、悪化する見込みである場合には、減損の兆候となる(適用指針第14項)。
この適用指針には、経営環境が著しく悪化した場合の具体例が3つ記載されているが、第88項には、個々の企業において経営環境の著しい悪化とはどのようなものかが大きく異なるため、適用指針では例示を示すにとどめている。

そのため、経営環境の著しい悪化とは、企業の状況を総合的に勘案して判断する必要があります。
④市場価格の著しい下落

資産又は資産グループの市場価格が著しく下落したことは、減損の兆候となります。

市場価格が著しく下落した場合には、資産グループについては、資産グループ全体の市場価格が把握できない場合でも、主要な資産の価格が著しく下落した場合や、資産グループの帳簿価額のうち土地の帳簿価額が大きな割合を占める場合は、当該土地の市場科学が著しく下落した場合は、減損の兆候と判断します。

(4)まとめ

今回は減損のグルーピングと兆候の注意点について解説してきました。認識と測定については次回解説いたします。

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公認会計士です。都内の監査法人に勤務しています。会計/監査/税務に関する情報を配信していきます。