経営指標分析について

はじめに、財務分析とは、財務諸表などから企業の経営状況を分析し、会社の収益性や、安全性、成長性を測ることをいいます。財務分析は企業の状況を判断する際にとても有用なので、いろいろな指標の内容だけでも覚えていただければと思います。


(1)収益性分析

収益性分析は、企業の利益について分析を行うものです。収益性分析の中でよく使うものとして、自己資本利益率(ROA)や総資本利益率(ROE)などがあります。この2点について見ていきます。
①自己資本利益率(ROE)とは

自己資本利益率とは、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを示す指標です。つまり、株主の立場から見ると、自分の投資がいかに効率的に利用して稼いでる会社かを判断する指標となります。計算方法は下記の通りです。

自己資本利益率=当期純利益÷自己資本×100

また、自己資本利益率は下記の計算式に分割することもできます。

自己資本利益率=売上高順利益率×総資産回転率×財務レバレッジ
※売上高順利益率=当期純利益÷売上高
※総資産回転率=売上高÷総資産
※財務レバレッジ=総資産÷自己資本

一般に自己資本利益率は10から20%程度であれば優良企業であると判断されます。
自己資本利益率を向上させる方法は3つあります。

①売上高利益率を上げる
②総資産回転率を上げる
③財務レバレッジを上げる
②総資産利益率(ROA)とは

総資産利益率とは、総資産に対してどれだけ利益を生み出したかを示す指標です。ROAが高いほど、効率的に利益を生み出せている会社と言えます。計算方法は下記の通りです。

総資産利益率=当期純利益÷総資産×100

総資産利益率は、分解すると下記の通りになります。

総資産利益率=売上高利益率×資産回転率

一般的に、総資産利益率が5%を超えていると優良企業であると判断できます。ただし、業種によって基準が変わるため、ROAを分析する際は同業種の水準で比較することが重要です。
総資産利益率を向上させる方法は2つあります。

①売上高利益率を上げる
②総資産回転率を上げる
③ROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)の違い

ROAが総資産(自己資本+負債)を使ってどれだけ利益を生み出したかを示す指標であるのに対し、ROEが自己資本(株主から預かったお金)を使ってどれだけ利益を出したかを示す指標です。

つまり、ROAが表しているのは、出資の出どころが自己資本か他人資本かを問わず、企業がどれだけ効率的に運用できたかを示す指標です。

(2)安全性分析

①流動比率とは

流動比率とは、1年内に現金化できる資産が、1年内に返済すべき負債をどれだけ上回っているかを示す指標です。流動比率を見ると、会社の短期的な支払い能力がわかります。流動比率の計算方法は下記の通りです。

流動比率=流動資産÷流動負債×100

流動比率が120%を上回っていれば一般に資金繰りに問題はないとされ、100%を下回っていれば支払い能力に不安がるとされます。
②固定比率

固定比率とは、会社の長期的な支払い能力を分析する際に用いる財務指標です。自己資本に対する固定資産の割合を示しています。計算方法は下記の通りです。

固定比率=固定資産÷自己資本×100

固定比率は、固定資産への投資額と自己資本を比較したもので、固定資産に投資した金額が自己資本で賄われているかを表す指標です。固定比率を見れば、企業の長期的な支払い能力がわかります。固定資産への投資を回収するには長期間を要するため、できるだけ返済義務のない自己資本で賄う方が良いとされています。

固定比率は100%以下であれば、会社が長期的に保有する固定資産を自己資本でカバーできているため経営は安全な水準にあると考えられます。

(3)成長性分析

売上高増加率

売上高増加率とは、前年の売上高と比較した際の増減を示します。数値が高いほど良好とされます。売上高増加率の計算方法は下記の通りである。

売上高増加率=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100

(4)まとめ

今回は各種財務分析について見てきました。今回は財務分析の中でも基礎の部分について触れてきましたが、この他にも様々な指標が存在します。これらについても順次解説できたらと思っています。

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公認会計士です。都内の監査法人に勤務しています。会計/監査/税務に関する情報を配信していきます。