新規連結時のCF計算書の表示

今回は、子会社株式を取得した場合の連結CF計算書の表示区分について解説していこうと思います。

(1)連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(10%→90%)
(2)連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出(60%→90%)
(3)取得関連費用について
(4)新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額
(5)まとめ

(1)連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(10%→90%)

株式の取得により新規連結した場合は、「連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」等の科目によって、投資活動によるキャッシュ・フローの区分に表示します。

この際、新たに連結子会社となった会社の現金及び現金同等物の額は、株式の取得による支出額から控除します。

(2)連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出(60%→90%)

子会社株式の追加取得又は一部売却(親会社と子会社の支配関係が継続している場合に限る。)による親会社の持分変動による差額は、資本剰余金に計上されます。

このため、連結範囲の変動を伴わない子会社株式の取得は、当該変動に関連するキャッシュ・フローを、非支配株主との取引として、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載します。

(3)取得関連費用について

上記で述べた「連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」も、「連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出」についても、取得関連費用にかかるキャッシュ・フロー「営業活動によるキャッシュ・フロー」の区分に記載します。

(4)新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額

子会社を連結範囲に含めるかどうかは、重要性を勘案して毎期判定を行う必要があります。その結果、従来、非連結子会社としていた会社の重要性が増したため、当該会社を新たに連結範囲に含めることがあります。

このような場合は、単に連結範囲が変更されるだけであり、企業活動の成果としてのキャッシュ・フローを伴いません。

そのため、非連結子会社を新たに連結とした場合の連結開始時点における同社の現金及び現金同等物の残高は、「新規連結に伴う現金及び現金同等物の増減額」等の科目で「現金及び現金同等物の期首残高」に加算する形式で、連結キャッシュ・フロー計算書において独立表示します。
重要性が増したことにより新規連結をした場合は、単に連結範囲が変更されただけであり、企業活動の成果としてのキャッシュ・イン・フローやキャッシュ・アウト・フローは生じていないことから、投資活動によるキャッシュ・フローの区分には記載しない点に留意が必要です。

(5)まとめ

今回は、キャッシュ・フロー計算書において、子会社株式を取得した場合の計上区分と、重要性が増したことにより連結子会社に該当することとなった場合の表示の方法について解説してきました。

子会社株式の取得という事象に対して、持ち分比率により計上区分が変わる点に注意が必要ということを覚えていただければと思います。

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公認会計士です。都内の監査法人に勤務しています。会計/監査/税務に関する情報を配信していきます。