目次
①税効果会計の改正について
②「従業員等に対して権利確定条件付有償新株予約権予約を付与する取引に関する取扱い」について
③「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」等について
④資金決済法における仮想通貨会計について
⑤IFRS関連の留意点について
2019年3月期決算のポイント②では、②「従業員等に対して権利確定条件付有償予約権を付与する取引に関する取扱い」と③「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」について記載いたします。
②「従業員等に対して権利確定条件付有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」について
【実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」について】 →実務対応報告第36号「従業員等に対して権利確定条件付新株予約権を付与する取引に関する取扱い」(以下「36号」)は、企業がその従業員等に対して新株予約権を付与する場合に、当該従業員等が一定の額の金銭を企業に払い込む取引に関する取扱いを示したものである。 |
【対象となる権利条件付新株予約権】 ①市場価格がない ②権利確定条件として、勤務条件及び業績条件が付されているか、又は勤務条件は付されていないが業績条件は付されている。 ③募集新株予約権を引き受ける従業員等は、申込日までに申し込む。 ④企業は、申込者から募集新株予約権を割り当てる者及びその数を決定する。割り当てを受けた従業員等は、割当日に募集新株予約権の新株予約権者となる。 ⑤新株予約権者となった従業員等は、払込期日までに一定の額の金銭を企業に払い込む。 ⑥新株予約権に付されている権利確定条件が満たされた場合、当該新株予約権は行使が可能となり、当該権利確定条件が満たされなかった場合、当該新株予約権は失効する。 ⑦新株予約権者となった従業員等は、権利行使期間において権利が確定した新株予約権を行使する場合、行使価格に基づく額を企業に払い込む。 ⑧企業は新株予約権が行使された場合、当該新株予約権を行使した従業員等に対して新株予約権を発行するか、又は自己株式を処分する。 ⑨新株予約権が行使されずに権利行使期間が満了した場合、当該新株予約権は失効する。 |
【会計処理について】 権利確定条件付有償新株予約権は、従業員等が一定の額を払い込む点を除き、ストックオプション会計基準の対象となるストックオプション取引と類似している。そのため、36号では、企業会計基準適用指針第11号「ストックオプションに関する会計基準適用指針」に準拠した会計処理を定めている。 |
【注記について】 ストックオプション会計基準16項およびストックオプション適用指針第24項から35項に従って行う(9項)。ストックオプション会計基準16項およびストックオプション適用指針24項から35項では、財務諸表への影響額をはじめ、会計期間において存在したストックオプションの内容、規則およびその変動状況、また、公正な評価単価の見積もり方法等についてその開示が求められている。 |
【適用時期】 36号は、平成30年4月1日以後適用される(10項)。遡及適用を原則としているものの、経過的な取扱いとして、36号の適用日より前に従業員等に対して権利確定条件付新株予約権を付与した取引については、従来採用していた会計処理を継続することができる(10項(3))。 |
③「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」等について
【平成30年9月改正前の実務対応報告第18号の概要】 (1)連結状の会計方針を統一する原則 (2)当面の取り扱い:子会社で国際財務報告基準あるいは米国会計基準の利用 (3)当面の取扱いに従う場合に修正が求められる項目 →詳細は、改正実務対応報告第18号参照。 |
【平成30年9月の改正内容:資本性金融商品に関する修正項目の追加】 平成30年9月における18号の改正において、IFRS第9号「金融商品」における資本性金融商品の取扱いについて、新たな項目が定められた。 |
【IFRS9号に関する修正項目の内容】 ・IFRS9号では、資本性金融商品への投資について、当初認識時に、公正価値の変動をその他の包括利益に表示する取消不能な選択をすることができる。これはOCIオプションと呼ばれる。OCIオプションを選択した場合、その後に売却等が行われた場合でも、その他の包括利益に表示された金額を事後的に純損益に振り替えてはいけない。つまり、純損益への組替調整(リサイクリング)を行わない処理(ノンリサイクリング処理)が求められる。IFRS9号は、2018年1月1日以後開始する事業年度から強制適用される。 ・在外子会社及び国内子会社において、資本性金融商品についてOCIオプションを選択している場合には、当該資本性金融商品の売却を行ったときに、連結決算手続上、取得原価と売却価額との差額を当期の損益として計上するよう修正する。 ・減損処理が必要と判断される場合には、連結決算手続上、評価差額を当期の損失として計上するよう修正する。 |
【適用時期・適用初年度の取扱い】 改正18号は、平成31年4月1日以後に開始する連結会計年度の期首から適用される。早期適用も認められる一方で、適用開始を遅くすることも容認されている。 |
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