2019年3月期決算のポイント③

①税効果会計の改正について
②「従業員等に対して権利確定条件付有償新株予約を付与する取引に関する取り扱い」について
③「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」等について
④資金決済法における仮想通貨会計について
⑤IFRS関連の留意点について

④資金決済法における仮想通貨会計について

【資金決済法における仮想通貨取引の会計処理等に関する当面の取扱い】について
→本実務対応報告は2018年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用される(早期適用可)ため、仮想通貨を保有する企業や仮想通貨を用いた取引を行う企業等にとっては、今3月決算において適用初年度となるケースが多いものと考えられる。
【適用範囲】
本実務対応報告の適用範囲は、「資金決済に関する法律」(以下「資金決済法」という。)に規定する仮想通貨であるとされている。
ただし、自己の発行した仮想通貨は適用範囲から除くものとされている。
ここでいう「自己の発行した仮想通貨には、発行した時点においては仮想通貨に該当しないものの、その後に仮想通貨に該当することとなったものも含まれる。
【会計処理】
・保有する仮想通貨の取扱い
→実務対応報告では、保有する仮想通貨については会計上の資産として取り扱うことが定められた。(第27号)。また、仮想通貨は外国通貨、金融資産、棚卸資産、無形固定資産のいずれにも該当しないものとされたことから、仮想通貨独自のものとして新たに会計処理を定めるとされている。

・期末における仮想通貨の評価
①保有する仮想通貨に活発な市場が存在する場合、市場価格に基づく価額をもって当該仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理する(第5項)。
②保有する仮想通貨に活発な市場が存在しない場合、取得原価をもって貸借対照表価額とする。
・仮想通貨の売却損益の認識時点
→仮想通貨の売却損益については、当該仮想通貨の売買の合意が成立した時点において認識することとされている。
・仮想通貨の売却損益の表示方法
→仮想通貨の売却取引に係る売却収入から売却原価を控除して算出した純額を損益計算書に表示することとされている。(第16項)。

⑤ IFRS関連の留意点について

【2019年3月期から適用となるIFRSの基準】
①IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
②IFRS第9号「金融商品」
③IFRS第2号「株式報酬取引の分類及び測定」
④IFRS第9号「金融商品」のIFRS4号「保険契約」との適用
⑤IAS第40号「投資不動産の振替」
⑥IFRIC第22号「外貨建取引の前渡・前受対価」
2019年3月期においては、IFRS第9号とIFRS第15号といった多くの企業に重要な影響を与えることが見込まれる基準が強制適用される。また、2020年3月期に強制適用となる、IFRS16号も、企業によっては重要な影響があり、財務諸表利用者の注目度も高いと考えられるため、IAS第8号に従って十分に開示する必要がある点に留意する。

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公認会計士です。都内の監査法人に勤務しています。会計/監査/税務に関する情報を配信していきます。