今回は関係会社株式と固定資産の減損の兆候の把握方法について解説して行こうと思います。 |
目次
(1)関係会社株式の減損の兆候の把握について
(2)固定資産の減損の兆候の把握把握方法について
(3)まとめ
(1)関係会社株式の減損の兆候の把握について
関係会社株式には時価の場合と時価のない場合があります。このそれぞれの減損の兆候の把握方法は下記の通りです。 |
【時価のある場合の減損の兆候】 時価のある有価証券は時価が「著しく下落」したときに減損処理をする必要があります。 時価が著しく下落しているかどうかは、時価の下落率を①30%未満のケース②30%以上50%未満のケース③50%以上のケースに分けて判断することになります。 ①30%未満の場合は、減損処理は不要です。 ②30%以上50%未満の場合は、各企業が設けた基準より著しく下落した場合は、回復可能性がなければ減損処理を行います。 ③50%以上の場合は、回復可能性がない場合は、減損処理を行います。 |
時価のある関係会社株式については、時価の下落が減損の兆候の把握方法となります。 |
【時価のない場合の減損の兆候】 時価のない株式については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときに減損処理をする必要があります。この場合の実質価額は、基本的に1株当たりの純資産額に持株数を掛けることで計算します。 減損の要否を判定するに当たり、期末時点の実質価額の下落率を①50%未満のケース、②50%以上のケースに分けて考えることになります。 ①50%未満の場合は、減損処理は不要です。 ②50%以上場合は、回復可能性がなければ減損処理を行います。 |
時価のない関係会社株式については、1株当たり純資産額の下落が減損の兆候の把握方法となります。 |
関係会社株式の減損の兆候の把握方法は上記に記載した通りです。それでは、固定資産の減損の兆候はどのように把握するのかを次の章で確認していきます。 |
(2)固定資産の減損の兆候の把握把握方法について
固定資産の減損の兆候の把握方法として、下記の4つの方法が「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」に示されています。それでは以下で具体的な把握方法をみていきます。 |
①営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合 →営業活動から生ずる損益、又はキャッシュ・フローが継続してマイナスの場合、あるいは継続してマイナスとなる見込みの場合、減損の兆候に該当します。ここでいう「継続してマイナス」とは、おおむね過去2期がマイナスであったことをいいます。ただし、過去2期マイナスであっても、当期の見込みが明らかにプラスとなる場合は、減損の兆候には該当しません。 |
② 使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合 →企業の内部事情や、固定資産の個別的な要因により、収益性の低下が生じる、又は見込まれる場合、減損の兆候に該当します。例えば、以下のようなケースが考えられます。 (1)事業の廃止または再編成(会社分割や事業希望の大幅な縮小なども含む) (2)予定よりも著しく早期の資産の除去・売却 (3)当初の用途からの転用 (4)資産の遊休化 (5)資産の著しい稼働率低下 (6)資産の著しい機能低下 (7)建設仮勘定について、計画の中止や大幅な延期の決定 |
③ 経営環境の著しい悪化がある場合 →社外環境の変化により、収益性の低下が生じる、又は見込まれる場合、減損の兆候に該当します。例えば、以下のようなケースが考えられます。 (1)市場環境の著しい悪化 ex. 材料価格の高騰、製商品価格の大幅な下落、販売量の著しい減少 (2)技術的環境の著しい悪化 ex. 技術革新による著しい陳腐化、特許期間終了による重要な技術の拡散 (3)法律的環境の著しい悪化 ex. 重要な法律改正、規制緩和、規制強化 |
④ 市場価格の著しい下落がある場合 →資産又は資産グループの市場価格が簿価から少なくとも50%程度以上下落した場合に、市場価格の著しい下落があると考えます。この場合、減損の兆候に該当します。 市場価格とは、市場において形成されている取引価格、気配又は指標その他の相場のことです。上場株式の株価と異なり、事業用資産の場合は市場価格の把握が困難な場合が多々あります。この場合、土地の公示価格や路線価等の一定の評価額や、一般に受け入れられている指標を市場価格とみなして使用します。 |
(3)まとめ
今回は、関係会社株式の減損の兆候の把握方法と、固定資産の減損の兆候の把握法穂を解説しました。機会がありましたら、固定資産の減損については、グルーピング→兆候の把握→認識の判定→損失の測定→会計処理・表示という一連の流れを解説しようと思います。また、関係会社株式については、回復可能性の判断について解説しようと思います。 |
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