収益認識基準が2021年4月1日以後に開始する連結会計年度および事業年度の期首から原則適用となっています。この収益認識基準において、商品券等の発行会社の会計処理に変更はあるのでしょうか。
はい。変更があります。商品券の非行使部分の取り扱いについて変更がありました。
商品券を発行した場合の会計処理について
収益認識基準による変更点について解説する前に、そもそも商品券を発行した場合の会計処理はどのように行うのかを見ていきます。
商品券を発行した段階では、「財貨の移転の完了」という要件を満たさないため、収益計上は行えません。では、いつ収益認識を行うかというと、顧客からの支払いを受けた時点で収益を認識することになります。顧客から支払いを受けた金額で、払込時点で負債計上していた商品券の消滅を認識し、収益を認識します。
また、今回の収益認識基準と大きく関わる部分ですが、顧客が権利を行使しないと見込まれる部分についての収益認識方法が重要なポイントとなります。
企業が将来において権利を得ると見込む場合には、当該非行使部分の金額について、顧客による権利行使のパターンと比例的に収益を認識します。
企業が将来において権利を得ると見込まれない場合には、当該非行使部分の金額について、顧客が残りの権利を行使する可能性が低くなった時に収益を計上することとなります。
収益認識基準による変更点
非行使部分について、一定期間経過後の一時点で負債の消滅を認識して収益を計上するという代替的な取り扱いが実務上認められていた。
この点について、収益認識基準適用指針187項において、「非行使部分の見積もりについては、実務において著しく困難になるとの意見が聞かれていないことを踏まえ、収益認識基準適用指針において代替的な取扱いを定めないこととする」と記載されております。
この代替的な手続きを認めていない点が主な変更点となります。