2019年3月期決算のポイント①

(Ⅰ)税効果会計の改正について

(Ⅱ)「従業員等に対して権利確定条件付有償新株予約を付与する取引に関する取扱い」について

(Ⅲ)「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」等について

(Ⅳ)資金決済法における仮想通貨会計について

(Ⅴ)IFRS関連の留意点について

2019年3月期決算のポイント①では、税効果会計の改正について記載していきます。

(Ⅰ)税効果会計の改正について

①個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い

→従来は、個別財務諸表における子会社株式又は関連会社株式にかかる将来加算一時差異について、「支払が見込まれない場合」と「組織再編に伴い受け取った子会社株式等に係る一時差異」のうち一定の要件を満たす場合を除き、一律に繰延税金負債を計上することとされてきた。



→個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱いについて、親会社又は投資会社がその投資の売却等を当該会社自身で決めることができ、かつ、予想可能な将来の期間にその売却等を行う意思決定がない場合を除き、繰延税金負債を計上する取扱いに変更している。(税効果会計適用指針第8項(2)②)。

②分類1に該当する企業における繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い

→改正回収可能性適用指針第18項では、「(分類1)に該当する企業においては、原則として、繰延税金資産の全額について回収可能性があるものとする。」と、「原則として」を追記している。



→将来において税務上の損金に算入される可能性が低い場合に、繰延税金資産の回収可能性はないと判断することが適切であることを明確にするために行われた改正である。

③表示に関するポイント

→従来は繰延税金資産、負債について、発生原因に関連した区分に表示していたが、これらを全て非流動区分に表示することに改正している。(税効果会計基準一部改正第2項)。

④注記に関するポイント

→情報を明確にすべきとの観点から、注記事項を追加している。具体期には下記の内容が追加されている。

(1)評価性引当額の内訳に関する事項

1 .評価性引当額の内訳に関する数値情報(税効果会計基準一部改正第4項(注8)(1))

2. 評価性引当額の内訳に関する定性的な情報(税効果会計基準一部改正第4項(注8)(1))

3. 評価性引当額の注記の対象となる範囲

(2)税務上の繰越欠損金に関する事項

1. 税務上の繰越欠損金に関する繰越期間別の数値情報(税効果会計基準一部改正第5項(注9)(1))

2. 税務上の繰越欠損金に関する定性的な情報(税効果会計基準一部改正第5項(注9)(2))

3. 個別財務諸表における注記事項
→個別財務諸表においても評価性引当額の内訳に関する数値情報の記載を求めることとしている。

4. 適用初年度の取扱い
→適用初年度における実務上の負担への配慮より、経過的な取扱いとして、税効果会計基準一部改正により追加された注記事項を比較情報に記載しないことができる。(税効果会計基準第7項)。

参考文献:会計・監査ジャーナル3月号【2019年2月15日発行】

https://www.daiichihoki.co.jp/jicpa/1903.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

公認会計士です。都内の監査法人に勤務しています。会計/監査/税務に関する情報を配信していきます。