商品券の会計処理

商品券とは現金と引き換えに発行するものであり、商品等の対価として額面金額で流通する有価証券のことを言います。商品券としては、例えば百貨店が自社グループでのみ使用できる商品券である自社商品券や、全国共通百貨店協会に加盟している百貨店で使用できる共通商品券(全国百貨店共有商品券)等があります。今回はこの百貨店の商品券について解説していきます。

商品券の発行(販売)

商品券を発行したタイミングでは、商品の引き渡しは伴わないため、後日商品を引き渡すという債務が生じます。そのため、会計上「商品券」や「前受金」等の科目で処理します。こちらについては、共有商品券についても同様で、発行時には、商品券」や「前受金」等の科目で処理します。

商品券の回収(商品の売上計上)

商品券を回収する場合には、①自社発行商品券を回収する場合、②自社発行共通商品券を自社にて回収する場合、③自社発行共通商品券を他社にて回収する場合に大別されます。

①自社商品券を自社にて回収する場合は、負債計上した勘定を取り崩すとともに、売上を計上します。

②共通商品券を自社発行・自社回収した場合は、店頭回収段階では自社発行した共通商品券なのか、他社が発行した共通商品券なのかが区別できないため、「立替商品券」等の勘定を使用するとともに、売上を計上します。

③自社発行教習商品券を他社が回収する場合には、その時点では起票は行いません。

共通商品券の精算

全国百貨店共通商品券発行会に加盟している各百貨店は、その後回収された共通商品券を精算センターへ送付し、当該精算センターにて共有商品券は自社発行のものと他社発行のものに区別されます。

自社発行他社回収の共通商品券>他社発行自社回収の場合は、全国百貨店共通商品券発行会への支払いを行います。

他社発行自社回収>自社発行他社回収の場合は、受け取りが行われます。なお、加盟会社間では差金決済が行われます。

商品券の雑益処理

商品券の未使用分については、発行時から一定の期間経過後に負債計上を中止し、収益計上を行うことが一般的です。なお、雑益計上した商品券が、その後回収された場合には、すでに負債の計上は中止されているため、損失を計上することになります。

負債計上を中止した項目に関する引当金

一定期間経過後の未回収商品券に関しても、顧客は引き続き商品券の使用が可能です。そのため、雑益処理した商品券については、将来の利用時に発生する損失に備えて、今後使用が見込まれる金額を引当金として計上することを検討する必要があります。

まとめ

百貨店の商品券の会計処理について解説してきましたが、より詳細に小売業の会計に興味がある方は、監査法人が発行している業種別会計シリーズの小売業を見てみると良いかと思います。

参考文献:業種別会計シリーズ小売業(新日本有限責任監査法人小売業研究会 編)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

公認会計士です。都内の監査法人に勤務しています。会計/監査/税務に関する情報を配信していきます。